INTERVIEW WITH PANORAMATIKS

ブルーボトルコーヒーとしては世界で初めて、梅田茶屋町カフェに設置した体験型ラウンジスペース「Sense Lounge」の企画・制作を担当していただいた、パノラマティクス(旧:ライゾマティクス・アーキテクチャー)さん。今回は、そのパノラマティクスの代表である斎藤さんにお話をお伺いしました。


Question(以下、Q):普段、コーヒーは飲まれますか?

Saito Seiichi(以下、S):濃いコーヒーが好きです。氷を入れたグラスにエスプレッソで抽出したコーヒーを入れて時間をかけて飲むのが好きでそれを毎日飲んでいます。エスプレッソは、5ショット入れて、それを4時間くらいかけてゆっくり飲むんですが、とても美味しいですよ。


Q:ブルーボトルコーヒーにどんなイメージをもたれていますか?

S:僕がブルーボトルさんに最初に訪れたのが、サンフランシスコの小さなカフェでした。その時の印象もあって、コーヒーはもちろんなんですが、ブランチを食べに行くというイメージがありますね。サラダやサンドイッチなどをコーヒーと一緒に楽しんでゆっくりするカフェ。そう感じるのが、テーブルなのか、カフェのデザインなのかどうしてなのかは分かりませんが、ブルーボトルさんの空間の作り方は長居ができる場所という印象がありますね。

 Q:今回「Sence Lounge」の企画・制作に当たってイメージソースはありましたか?

S:お話自体は実は、だいぶ前からスタートしていました。近年は、アプリを使ったり、デジタルが道具のようになってきたので、単にブルーボトルコーヒーに映像やプロジェクターを入れるのではなくて、僕たちが作るメディアをブルーボトルコーヒーの店舗の中に入れたり、お客様にどうやって見せていくか。ということを企画の段階から、ずっと考えていました僕の中で、ブルーボトルはいつも青空というイメージがあり、レジの上にいつも青空が出ているような状態。「ここにいくと、いつも明るいな」とお客様に思ってもらえる空間を作りたいと思いました。

僕たちが世間から言われるのって、テクノロジーとかハイテクとか最新鋭のとかって言われることが多いのですが、僕はそこではなくて、デジタルを道具として相手に理解してもらえるかということが大事だと考えているので、今回のものも単純にサンフランシスコの青空を切り取って映像として流すのではなく、時間で映像が変わったり、人間の感覚を研ぎ澄ませる、五感で楽しむような場所を作ろうということになりました。

 Blue Bottle Coffee:そのお話を聞いて、リニューアルする前の清澄白河の一号店の風景を思い出しました。当時は、バリスタが立つバーの後ろが、大きい窓になっていて、そこから入る日の光や見える空はいつも青空でした。

S:清澄のお店も僕がよく行く六本木のお店も、いつもブルーボトルに行く時は晴れてるんですよね。不思議じゃないですか?なんだろう。ロゴなのかな。ピクスチャーが全部白だからかわからないんですけどね。ブルーボトルはいつも青空、をお話させていただいた時に、ブルーボトルコーヒーの名前の由来や創業者のジェームスが乗っていた青色の車のお話などを担当の方に聞いて、「青空」と親和性が高いなと感じましたね。


Q:「Sense Lounge」のコンセプトを教えてください。

S:僕の中でコーヒーを飲む時間って、自分をリセットする時間だと思っています。自分を一回自然体に戻す。コーヒーを飲むときに、コーヒーと対峙することや鼓動を合わせることが重要だなと思っていて、音だったらどんな音だったら良いだろう、天井に流れる映像は正面に向かって見るわけではないので、気配として感じてもらうような作り方をしているのですが、そこには何が流れているといいのか、というのを考えました。結局行き着いたのは、不思議な美しさを出す自然の環境を映し出すということだったんですね。

コロナになってから、命を意図的に尊重する社会を作ろうと日本の中ではなってきたのではないかなと感じていて、その上で全てに対して生命があるということを、どうリスペクトするのかを考えました。

実は、一番の創作物っていうのは自然で、自然を直視するのではなくて、気配として感じることが人のバイオリズムを合わせてくれるんじゃないかなと思っています。

 Q:「Sence Longe」ではどんな体験ができますか?

 コーヒーと対峙する環境を作りました。そして人が持っている様々な感覚を刺激するような体験をしていただけると思います。

今の人間ってものを見るとか、ものを読むとか視覚情報に頼っていて、そうなると他の機能が衰えてくるんですよね。そこを少しでも起こしてあげるような味覚や嗅覚、触覚。人が持っている五感で感じる空間になっています。

スクリーンからは、朝、昼、夜とそれぞれ別の映像が流れるようになっていて、朝は自分自身をセットアップしてくれるような映像、昼はニュートラルに戻してくれるような映像、夜は一日の終わりのセットアップするような映像を制作しました。また、ラウンジ内に設置している家具も大きなU字のベンチになっていて、そのベンチからも音が鳴るのですが、少し振動を感じることができます。実際に体験してみないと、お伝えするのが難しいかもしれないですね。

Q:おすすめの席は、ありますか?

S:僕がブルーボトルさんに行く時はほぼ一人なんですよ。だから、一人でゆっくりできる席ですね。今回の茶屋町だとラウンジのガラスの空間の中は、スマホを見ずにぼーっとできるような場所なので、U字型のベンチの突端がいいんじゃないかなと思っています。

自分もまだ体験していないので、体験したら改めておすすめしたいと思います。

 

Q:最後に、大阪の皆さんにメッセージはありますか?また、どんな風に楽しんでいただきたいですか?

S:ブルーボトルコーヒーさんの店舗は、コミュニティのハブなんですよね。それはアメリカも日本も同じで、すごくローカリティを大切にされてるなと思っています。それは、お店にいるスタッフもそうだし、食べ物もその場所によって違いますよね。だから、大阪は茶屋町という場所でどんどんコミュニティネットワークを大きくしていって欲しいです。

一杯の美味しいコーヒーを淹れられる人がいる街ってすごく幸せなんですよ。美味しいコーヒーだけで街って変わるんですよね。うまい喫茶店の親父がいるところは、みんな元気が良かったり、仲が良かったりするんですよ。一つのコーヒーショップと思ってしまうかもしれないですけど、人の繋がる場所としてぜひ積極的にお店に関わりに行くのはいいことだと思います。

また、今回は僕たちが「Sence Longe」というメディアを作ったので、大阪ローカルのアーティストの方々とかクリエイティブの方達が積極的にそこに絡んでもらえるようなハブになると良いなと思います。

 

そのほかにもいろいろなお話をお伺いさせていただきました。ぜひ動画もご覧ください。

Movie by Yohei Murakami

 

パノラマティクス

https://panoramatiks.com/