Costa Rica: An Origin of Micromills
現在ブルーボトルコーヒー公式オンラインストアと一部のブルーボトルコーヒーカフェで提供されている「コスタリカ・タラス・ラ リア」。コスタリカは、世界のコーヒー生産量のわずか1%未満の生産量ながら、その画期的なイノベーションで注目されている産地です。「コスタリカ・タラス・ラ リア」は、アメリカンチェリーやレモンゼストのような明るい酸味と、ハニープロセスによるモラセスのような甘みを持つ、ミディアムボディのコーヒーです。
ブルーボトルのグリーンコーヒー購入チームのマネージャーであるショーン・プクラベッツは、次のように述べています。 「コスタリカのコーヒーは、ブラジルやコロンビアのようなラテンアメリカのより大きな産地と競争しようとするのではなく、独自の味を追求しています。私たちも、その個性を最大限に活かしたコーヒーを紹介しています。」
ブルーボトルでは、マイクロミルとして知られるようになったコーヒー豆の精製所を運営する小規模生産者による、革新的なコーヒーを積極的に取り扱っています。
今日はコスタリカのコーヒーが持つ歴史と、現地で行われているハニープロセスというコーヒー豆の精製方法についてご紹介できればと思います。
カリブ海から最初にコーヒー豆が持ち込まれた1700年代から、コスタリカではコーヒーを栽培してきました。スペインから独立する直前の1821年、火山性の土壌が豊富なコスタリカの山で植物がどれほどよく育つのかを目にした政府は、収入源を得るためにコーヒーの種を農家に配布し栽培を促しました。長い間、コーヒーは国の唯一の輸出品であり、鉄道を含む主要なインフラへの投資を支えてきました。 その後1930年代になると、政府はよりコーヒーの品質を高めるために、コーヒーの研究と実験を行う機関であるICAFE(コスタリカコーヒー協会)を設立し、小規模なコーヒー農家にも情報を提供することを可能にしました。
20世紀半ばまでに、ほとんどの農家はコーヒーの実であるコーヒーチェリーと呼ばれる果実を、大規模な工場にて精製処理することで、少しマイルドで一般的な味でありながらも、コーヒーを大量に生産することが可能になりました。しかしその後、1990年代に起きたコーヒーのコモディティ市場価格の暴落がコスタリカにも大きく影響を及ぼし、生産量の落ち込みにつながりました。これにより、コーヒー農家が生計を立てることは難しいものになっていきました。
マイクロミル革命
2000年、コスタリカで最も有名なコーヒー産地であるタラス地域の La Candelilla Estate は、コスタリカで最初の独立したミル(コーヒーチェリーの精製所)を開設しました。自ら精製プロセスを管理することで、コーヒーの品質と最終価格も決めることが可能となり、また精製処理の機材への投資を価値あるものにするために、バイヤー達とダイレクトにプレミアム料金を決定することができました。
他のスペシャルティコーヒーの生産者もこれに続き、コスタリカを、コモディティ市場で取引されるコーヒー生産地ではなく革新的で有名なコーヒーの生産地へと変えていきました。この進化は、ブルーボトルのパートナーである、輸出業者の Exclusive Coffees の Francisco Mena によって「マイクロミル革命」と呼ばれています。一部の工場では、自分の農園で育てたコーヒーを精製処理するだけでなく、他の地元の農園と協力しながらも、各農園のコーヒーチェリーを個別に精製処理することで、それぞれの農園が独自のシングルオリジンコーヒーを生産できるようになりました。
ハニープロセスの台頭
マイクロミルを運営することは、コーヒー生産者に、複数のコーヒー品種を栽培したり新たな精製処理方法を試すなど、自らのコーヒーに実験的な試みをすることを可能にしました。このことは、ハニープロセスとして知られている方法を含む実験的な精製処理の台頭につながりました。
ハニープロセスとは、ナチュラルプロセスとウォッシュドプロセスの中間に位置するようなコーヒー豆の精製処理方法です。ナチュラルプロセスでは、コーヒー豆の周りに果実をそのまま残す形で乾燥させます。ウォッシュドプロセスでは、果実は完全に除去されるか、乾燥する前に洗い流されます。ハニープロセスでは、生産者はある程度の果実を取り除き、乾燥すると蜂蜜のように粘着性になる粘液を残します(そのためこの名前が付けられています)。この方法は、通常のウォッシュドコーヒーよりもはるかに少ない水で精製することを可能にしますが、ナチュラルプロセスのコーヒーよりも管理がしやすいのが特徴です。それでも、リスクがないわけではありません。コスタリカの生産者の細部に至るこだわりがあるからこそ、コスタリカのハニープロセスで処理されたコーヒーは非常に高品質であるといえるでしょう。
その後、乾燥中にコーヒー豆に残された果実の量をコントロールすることにより、コーヒーの最終的な味が決まります。正式な用語はありませんが、ハニープロセスで処理されたコーヒーは、コーヒー豆に残っている果実の量によって大まかに分類されます。一般的なルールは次のとおりです。残りの果実が多いほど、「ハニー」の色は暗くなり、結果として得られるコーヒーはフルーティーなテイストとなります。
ホワイト:ウォッシュドプロセスで精製されたコーヒーに最も近く、コーヒー豆に残された果実の量が最も少なく、天日で乾燥されたものを指します。短い時間で乾燥され、豆の外側に付いているパーチメントと呼ばれる部分はほとんど白くなります。一般的にすっきりとした味わいで、リンゴやサクランボ、高品質のウォッシュドコーヒー彷彿とさせる、明るい酸味を持っています。
イエロー:果実が約半分ほど残されたコーヒー豆は、しばしばイエローハニーと呼ばれます。それらは強すぎない日差しの下で乾燥され、約1週間かけて乾燥されます。ナチュラルコーヒーに見られる、ベルベットのようなボディを感じさせながら、レッドやブラックよりも少しやわらかな味わいとなります。
レッド:ほとんどの果実がコーヒー豆に残されており、日陰でゆっくりと乾燥させたものを指します。ホワイトやイエローよりも、ボディがあり果実味を感じることができます。
ブラック:ほぼそのままの状態の果実を日陰で乾燥させ、最大3週間かけて乾燥させたものを指します。シロップのようなボディと深いベリーの香りが特徴です。
2006年、Brumas Del Zurquí というマイクロミルのプロデューサーである Juan Ramón Alvaradoが、ハニープロセスで精製した自身のコーヒーにて、コスタリカのスペシャルティコーヒーコンペティションである Cosecha de Oro(Golden Harvest)で1位と2位を獲得しました。彼の受賞は、ハニープロセスの地位を確かなものにしました。 その後、2008年の地震で淡水が不足したことで、ハニープロセスの人気はさらに高まりました。
ブルーボトルは、ハニープロセスを経たコーヒーが持つ、二つとない個性溢れる味を提供できることに喜びを感じています。また、貴重な資源である水を節約できるという面でも素晴らしいと感じています。何年にもわたり、私たちはいくつかのハニープロセスコーヒーをカフェにて提供してまいりました。そしてこれからも、私たちは常に新たな美味しいコーヒーを見つけ、お客さまにお届けしたいと考えています。
「私たちはコスタリカのコーヒーが持つ、テイストの幅広さにとても魅力を感じています」とプクラベッツは言います。 「ウォッシュドコーヒーは甘くクリーンで、バランスが取れた味が特徴ですが、ハニープロセスを施したコーヒーは、ジャムやシロップのような甘さを持つものから、はっきりとした明るさを持つものまで、様々なフレーバーをお楽しみいただくことができます。」
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本日はコスタリカのコーヒーについてお伝えさえていただきましたが、いかがでしたでしょうか?現在、オンラインストアでもお取り扱いがございますので、気になられた方はぜひカフェやご自宅でお楽しみいただけると嬉しいです。
スタリカ・タラス・ラ リア 商品ページ
「コスタリカ・タラス・ラ リア」コーヒー豆の詳細:
品種:レッドカトゥアイ
標高:1,400〜2,000メートル
プロセス:ホワイトハニー
ナチュラルプロセスについて:
天候に応じて、収穫したコーヒーチェリーを、15〜35日間天日干しします。次に、乾燥した皮を取り除く作業(ハリング)を行います。ナチュラルプロセスを施すことで、果実の糖分とフレーバーはコーヒー豆に濃縮され、よりしっかりとしたボディ、抑えられた酸味、そしてフルーティーでワインのようなフレーバーに仕上がります。
ウォッシュドプロセスについて:
収穫したコーヒーチェリーの果肉をパルプマシンで取り除いた後、数時間から数日の間、コーヒー豆を水中で発酵させます。次に、コーヒー豆はすすがれ、屋外の乾燥棚、または乾燥機で乾燥されます。ウォッシュドプロセスが施されることで、明るく爽やか、クリーンで明瞭なフレーバーに仕上がります。