我戸幹男商店 × ブルーボトルコーヒー ウッドカップ
ブルーボトルコーヒーでは、これまでさまざまな素晴らしい価値観をもつ作家さまやデザイナー、ブランドの方々とコラボレートしブルーボトルのコーヒー体験がデザインの視点からもお楽しみいただけるようなアイテムをお届けしてまいりました。
今回はその中のひとつ、山中漆器の作り手としてご活躍されている我戸幹男商店とコラボレートした、コーヒーのための特別な器「我戸幹男商店 × ブルーボトルコーヒー ウッドカップ」についてご紹介いたします。
普段は見ることができない職人による作業工程と共に、伝統的で高度な技術によって誕生した器の魅力について、 代表の我戸正幸さんにお話を伺いました。
GATOMIKIO
我戸幹男(がとみきお)商店は、明治41年(1908年)ろくろの町として知られている石川県・山中温泉にて漆器の元となる木地を作る木地屋として創業しました。木地師の意思を受け継ぎ、和の美意識を感じさせる繊細な技術を生かしながらも、現代の暮らしに調和する新しい美しさを魅せるモダンな漆器作りで、創業から100年以上経つ現代においても国内外から高く評価されています。
「我戸幹男商店 × ブルーボトルコーヒー ウッドカップ」は、一つひとつの工程をそれぞれの職人の手によって丁寧に作業が施され、ひとつの器を作り上げるのに約3ヶ月ほどの時間を要します。
まずは原木から器の形を切り抜く作業から始まります。
山中漆器で用いられる木地の取り方は、輪切りにした木を平行に木取りする “たて木取り” と呼ばれる工法です。たて木取りした器は、割れにくく歪みも少ないので、我戸幹男商店の作品の特徴でもある縁が薄く繊細で洗練されたデザインが可能になるといいます。
木は乾くことで収縮し変形したりするため、最初は器の原型を荒挽きした状態で約1ヶ月乾燥させます。
次に器の形をつくっていきます。
木を挽く作業は工作機械のひとつである「倣い旋盤(ならいせんばん)」という機械を使います。この技術は手作業で十分に経験を積んだ職人にしかなし得ない、とても繊細で難しい職人技です。
そして最後に漆を塗ります。「我戸幹男商店 × ブルーボトルコーヒーウッドカップ」は、生漆に鉄分を加えた黒漆を使用します。
山中漆器では、完成度の高い木地を活かす「拭漆(ふきうるし)」という漆塗りの技法があります。薄い塗膜を幾重にも重ね木目を引き立たせます。
まず1回目は器の変形を防ぐため、木地に漆を十分に染み込ませます。その後「目スリ」という工程で木の道管を砥の粉(とのこ)で埋めます。この目スリが不十分だと道管を伝って器の中身が漏れてしまうため、とても大切な工程です。
その後、漆を塗って拭き取る工程を繰り返しようやく完成です。
伝統的な拭漆では出来上がりが艶の出る質感となり、その艶が漆の魅力の一つとされてきました。しかし、近年の我戸幹男商店では現代のライフスタイルやお客さまの嗜好に寄り添った形で、あえて艶消しの塗装で器の全面をコーティングするという方法で、これまでの山中漆器の常識を覆す、新たな質感のイノベーションを起こしました。
艶消しをすることで、完成した器は天然の素材が生み出す一つひとつ模様の異なる木目が透け、優しい木の質感も感じられるデザインへと一変しました。また漆の上から艶消しをすることで、漆独特の香りを減らす役割や器自体の強度も増しました。食卓ではよりさまざまなシーンで使いやすくなり、長く愛される漆器として国内外から改めて我戸幹男商店や山中漆器が注目されています。
「我戸幹男商店 × ブルーボトルコーヒー ウッドカップ」のデザインは、プロダクトデザイナーの竹内茂一郎さんに担当いただきました。竹内さんのデザインの特徴でもある時代や流行りに左右されないデザインや機能性が引き出されています。シンプルながらも生活に馴染みやすい柔らかな曲線の木目が美しく映えるデザインです。
実際に持ってみると非常に手に馴染みやすく、器の底に少し重心を感じるので触っていて心地よく優しいフォルムです。コーヒーをゆっくりと味わっていただけるよう両手で包み込むような形と、アロマを楽しんでいただけるように飲み口が開いた作りとなっています。
代表の我戸さんが28歳の時に東京の漆器問屋の修行から、山中温泉に戻り先代を引き継いでからは、積極的にさまざまなデザイナーとコラボレートし山中漆器の魅力を発信されています。地元石川県に構えるショールームには、これまでに受賞された数々のデザインアワードなどの表彰状が並んでいます。
「人は環境に依存するので、感性を豊かにしてくれるモノに囲まれながら、仕事をしていきたい」と最後に話してくださいました。
現在は公式オンラインストア限定にてこちらの「我戸幹男商店 × ブルーボトルコーヒー ウッドカップ」をご購入いただけます。日常のコーヒータイムがより一層贅沢に、ゆっくりと落ち着いた特別な時間にしてくれます。ひとつの器が出来上がるまでのストーリーを通して、日本の伝統に触れ改めて器の魅力を感じていただきながらコーヒーをお楽しみいただけると嬉しいです。
我戸幹男商店公式サイトはこちらから