PARTNERSHIP:BLUE BOTTLE COFFEE×MIIR
2022年12月から翌2月にかけて長野県・野沢温泉村に設置された「ブルーボトル コーヒートラック」でお目見えしたワンプッシュ開閉式のステンレスタンブラー「360トラベラー」は、真っ白なボディにブルーのブランドロゴが映えるシンプルなデザインが印象的。ブルーボトルコーヒーと、シアトルを拠点とする「MiiR」とのコラボレーションで誕生したこのタンブラーは、大自然の中でコーヒーを味わう、特別なひと時を演出してくれる。
写真左から:アウトドア ブレンド、コミューターカップ、360トラベラー(現在完売中)
「熱々のコーヒーを大自然の中で飲むと、えも言われぬ感動を覚えます。日常のわずらわしさから解放され、感覚も研ぎ澄まされるせいか、普段とは違った味わいになるのも面白い」と、話すのは、スキーや登山が趣味だというMiiRのCEO、ブライアン・パぺさんだ。同じくアウトドアが大好きなブルーボトルコーヒージャパン代表・伊藤諒に誘われ、2023年1月にチームを率いて野沢温泉村にやってきた。リラックスしたムードが良好な関係性を物語る、両社のパートナーシップを紹介する。
写真左:MiiR CEOブライアン・パぺさん、写真右:ブルーボトルコーヒージャパン代表 伊藤諒
「ノー」と言わずに
ともに改善への糸口を探る
ブルーボトルコーヒーとMiiRがパートナーシップを結んだのは7年前。当時のブルーボトルコーヒージャパン代表・井川沙紀さんが、そのシンプルなデザインに惹かれてコラボレーションを打診した。「シンプルで、シックなデザインに一目惚れしました。また、アフリカの学校にきれいな水を供給するなど、MiiRが環境保全や貧困地域の支援に利益を還元していることにも共感を覚えました」。
一方のブライアンさんは、「シンプルを極めたい」という共通のデザインフィロソフィーを持っていたことが、当初から良好な関係を築けた最大の理由だと話す。ただ、それが裏目に出て、スタート時に難問が持ち上がったと打ち明ける。「ブランド創業者のジェームス・フリーマンが、MiiRのロゴは全て外したいと言ってきたんです」
写真:ブルーボトルコーヒーとMiiRが共同開発した最初の製品「ブルーボトルコーヒー トラベルマグ」は、今も世界各国のブルーボトルコーヒーで販売されている
双方が納得する解決方法を模索した結果、側面にブルーボトルコーヒーのロゴを、中蓋の上部と本体の内側に小さく「MiiR X」のロゴを入れることで合意を得ることができた。「最終的に2社のコラボであることが一目でわかるデザインへと改善できてよかった」と、ブライアンさん。
品質面においても、日本・韓国にローンチする際の品質検査において「あまりにひどい結果が出て愕然とした」とブライアンさんは振り返る。 すぐに韓国に飛び、自ら品質チェックに立ち会ったブライアンさんの行動力には驚いたと、井川さん。でもこの時憂き目を見たことで自社工場での生産へとシフトし、ブライアンさんは「今では世界最高品質である」と自信を持って言えるようになったそうだ。
一方的に要望を伝えたり相手のことを否定したりせず、問題の本質を見極めた上で、根気強く改善する。それもまた、良好な関係を続けていく上で重要だという。MiiRのセールスディレクター、ベン・キーラーさんも「ブルーボトルのスタッフはおしなべて相手のことを理解しようとしますし、何か問題が起こった時には一緒に解決しようと歩み寄ってくれます。足並みを揃えて共に成長できる関係を築けたことがとてもうれしい」と、話す。この「理解しようとする」姿勢については、日頃からスタッフとも話し合っていると、伊藤さん。「これはゲストに対しても言えることで、相手が『こう思っているだろう』という仮定に基づいて行動してはダメ。必ずコミュニ―ションを取って状況を確かめることが大事だし、『知りたい』という好奇心を忘れてはいけないと思います」
プライドを共有し
二人三脚で関係性を深める
ブルーボトルコーヒーとMiiRは、相互理解を深めるだけではなく、「プライドも共有できる関係」だと考えるのは、ブライアンさんの妻で、MiiRの共同設立者でもあるレベッカ・パぺさんだ。商品開発をはじめ、事業のさまざまな側面において、同じようにプライドを持って取り組んでいると感じているのだという。
「プライドの共有」とは言い得て妙だと伊藤さん。両社は「良きことをしている」という点においても、プライドを共有しているという。たとえば、コラボ商品のタンブラーを買うと、MiiRが支援している団体に売り上げの一部が寄付される。購入者は商品の底についているQRコードを読み込むと、どこに寄付されたのかがわかる仕組みだ。「製品を購入することでプロジェクトに貢献できる」という付加価値を付けられるギブバックシステムは「とてもユニークだし、ごく自然にこれをやっていることに驚かされる」と、井川さん。伊藤さんは、この「ごく自然に」という点が肝心だと強調する。
写真左手前:MiiR CEOブライアン・パぺさん、写真右:ブルーボトルコーヒージャパン元代表 井川沙紀さん
「私たちは『こんないいことをやっています』というアピールをして商品を売りたいわけではありません。まずは商品やブランドのファンになってもらうことが大事。サステナビリティへの取り組みや社会貢献などについては、後から知ってもらえればいい。MiiRとは、そういう姿勢も共通していると思います」
自社の利益ばかりを追求せず、パートナー企業と二人三脚で発展すること。責任ある方法で問題を解決すること。膝を割っての話し合いを大事にすることなど、ほかにも共有できる価値観は多い。そして何より、スタッフの人柄が素晴らしいと、双方が口を揃える。「MiiRのスタッフに重要な取引先はどこか聞いたら、真っ先にブルーボトルコーヒーの名前が挙がるはずよ」と、レベッカさん。両社がこの先も特別なパートナーであり続けることは間違いなさそうだ。
自然を体験する機会を提供し
サステナビリティへの関心を高める
「野沢温泉村で過ごした4日間を振り返り印象的だったのは、コーヒートラックのオープンからまだ2週間なのに、ブルーボトルチームの面々がすっかり地元のコミュニティに溶け込んでいたことだと、MiiRチームのメンバーは口々に話す。ビジネス面だけ考えたら、野沢温泉村を選ばなかったかもしれないが、ブルーボトルコーヒーが提案する「Coffee in Nature」の本質は別のところにある。伊藤さんは、野沢温泉村のように豊かな自然に囲まれた土地でのコーヒー体験が、自然に対する意識を高めるきっかけになることを期待しているのだ。たとえばコーヒーを飲んだ後に「コーヒーを入れた沸き水はどこから来るのだろう?」と考えたり、去年より少なくなった雪をながめているうちに「どうしたら地球温暖化を止められるだろう」と思いを巡らせたりすることもあるはず。また、自然との一体感を楽しんだ後に、わざわざ森を汚したり、川にプラスチックごみを捨てたりするとは考えづらい。
写真:2022年12月から翌2月にかけて長野県・野沢温泉村に設置された「ブルーボトル コーヒートラック」雪景色の中で楽しむコーヒーは、格別の美味しさ!
「一見無関係に見えるかもしれませんが、自然を楽しむ機会を提供することで人々の意識を変え、サステナビリティへの関心を高められると私たちは考えています。今後もアウトドアでコーヒートラックを運用し、各地で“季節の風物詩”的存在となるのが理想です。冬なら『ブルーボトルのチームが来たからそろそろスキー場がオープンするね』、夏なら『そろそろ花火の季節だね』と、地元の方々に言ってもらえるようになることを願っています」
PARTNERSHIP:
BLUE BOTTLE COFFEE × MIIR
2022年12月から翌2月にかけて長野県・野沢温泉村に設置された「ブルーボトル コーヒートラック」でお目見えしたワンプッシュ開閉式のステンレスタンブラー「360トラベラー」は、真っ白なボディにブルーのブランドロゴが映えるシンプルなデザインが印象的。ブルーボトルコーヒーと、シアトルを拠点とする「MiiR」とのコラボレーションで誕生したこのタンブラーは、大自然の中でコーヒーを味わう、特別なひと時を演出してくれる。
写真左から:アウトドア ブレンド、コミューターカップ、360トラベラー(現在完売中)
「熱々のコーヒーを大自然の中で飲むと、えも言われぬ感動を覚えます。日常のわずらわしさから解放され、感覚も研ぎ澄まされるせいか、普段とは違った味わいになるのも面白い」と、話すのは、スキーや登山が趣味だというMiiRのCEO、ブライアン・パぺさんだ。同じくアウトドアが大好きなブルーボトルコーヒージャパン代表・伊藤諒に誘われ、2023年1月にチームを率いて野沢温泉村にやってきた。リラックスしたムードが良好な関係性を物語る、両社のパートナーシップを紹介する。
写真左:MiiR CEOブライアン・パぺさん、写真右:ブルーボトルコーヒージャパン代表 伊藤諒
「ノー」と言わずに
ともに改善への糸口を探る
ブルーボトルコーヒーとMiiRがパートナーシップを結んだのは7年前。当時のブルーボトルコーヒージャパン代表・井川沙紀さんが、そのシンプルなデザインに惹かれてコラボレーションを打診した。「シンプルで、シックなデザインに一目惚れしました。また、アフリカの学校にきれいな水を供給するなど、MiiRが環境保全や貧困地域の支援に利益を還元していることにも共感を覚えました」。
一方のブライアンさんは、「シンプルを極めたい」という共通のデザインフィロソフィーを持っていたことが、当初から良好な関係を築けた最大の理由だと話す。ただ、それが裏目に出て、スタート時に難問が持ち上がったと打ち明ける。「ブランド創業者のジェームス・フリーマンが、MiiRのロゴは全て外したいと言ってきたんです」
写真:ブルーボトルコーヒーとMiiRが共同開発した最初の製品「ブルーボトルコーヒー トラベルマグ」は、今も世界各国のブルーボトルコーヒーで販売されている
双方が納得する解決方法を模索した結果、側面にブルーボトルコーヒーのロゴを、中蓋の上部と本体の内側に小さく「MiiR X」のロゴを入れることで合意を得ることができた。「最終的に2社のコラボであることが一目でわかるデザインへと改善できてよかった」と、ブライアンさん。
品質面においても、日本・韓国にローンチする際の品質検査において「あまりにひどい結果が出て愕然とした」とブライアンさんは振り返る。 すぐに韓国に飛び、自ら品質チェックに立ち会ったブライアンさんの行動力には驚いたと、井川さん。でもこの時憂き目を見たことで自社工場での生産へとシフトし、ブライアンさんは「今では世界最高品質である」と自信を持って言えるようになったそうだ。
一方的に要望を伝えたり相手のことを否定したりせず、問題の本質を見極めた上で、根気強く改善する。それもまた、良好な関係を続けていく上で重要だという。MiiRのセールスディレクター、ベン・キーラーさんも「ブルーボトルのスタッフはおしなべて相手のことを理解しようとしますし、何か問題が起こった時には一緒に解決しようと歩み寄ってくれます。足並みを揃えて共に成長できる関係を築けたことがとてもうれしい」と、話す。この「理解しようとする」姿勢については、日頃からスタッフとも話し合っていると、伊藤さん。「これはゲストに対しても言えることで、相手が『こう思っているだろう』という仮定に基づいて行動してはダメ。必ずコミュニ―ションを取って状況を確かめることが大事だし、『知りたい』という好奇心を忘れてはいけないと思います」
プライドを共有し
二人三脚で関係性を深める
ブルーボトルコーヒーとMiiRは、相互理解を深めるだけではなく、「プライドも共有できる関係」だと考えるのは、ブライアンさんの妻で、MiiRの共同設立者でもあるレベッカ・パぺさんだ。商品開発をはじめ、事業のさまざまな側面において、同じようにプライドを持って取り組んでいると感じているのだという。
「プライドの共有」とは言い得て妙だと伊藤さん。両社は「良きことをしている」という点においても、プライドを共有しているという。たとえば、コラボ商品のタンブラーを買うと、MiiRが支援している団体に売り上げの一部が寄付される。購入者は商品の底についているQRコードを読み込むと、どこに寄付されたのかがわかる仕組みだ。「製品を購入することでプロジェクトに貢献できる」という付加価値を付けられるギブバックシステムは「とてもユニークだし、ごく自然にこれをやっていることに驚かされる」と、井川さん。伊藤さんは、この「ごく自然に」という点が肝心だと強調する。
写真左手前:MiiR CEOブライアン・パぺさん、写真右:ブルーボトルコーヒージャパン元代表 井川沙紀さん
「私たちは『こんないいことをやっています』というアピールをして商品を売りたいわけではありません。まずは商品やブランドのファンになってもらうことが大事。サステナビリティへの取り組みや社会貢献などについては、後から知ってもらえればいい。MiiRとは、そういう姿勢も共通していると思います」
自社の利益ばかりを追求せず、パートナー企業と二人三脚で発展すること。責任ある方法で問題を解決すること。膝を割っての話し合いを大事にすることなど、ほかにも共有できる価値観は多い。そして何より、スタッフの人柄が素晴らしいと、双方が口を揃える。「MiiRのスタッフに重要な取引先はどこか聞いたら、真っ先にブルーボトルコーヒーの名前が挙がるはずよ」と、レベッカさん。両社がこの先も特別なパートナーであり続けることは間違いなさそうだ。
自然を体験する機会を提供し
サステナビリティへの関心を高める
「野沢温泉村で過ごした4日間を振り返り印象的だったのは、コーヒートラックのオープンからまだ2週間なのに、ブルーボトルチームの面々がすっかり地元のコミュニティに溶け込んでいたことだと、MiiRチームのメンバーは口々に話す。ビジネス面だけ考えたら、野沢温泉村を選ばなかったかもしれないが、ブルーボトルコーヒーが提案する「Coffee in Nature」の本質は別のところにある。伊藤さんは、野沢温泉村のように豊かな自然に囲まれた土地でのコーヒー体験が、自然に対する意識を高めるきっかけになることを期待しているのだ。たとえばコーヒーを飲んだ後に「コーヒーを入れた沸き水はどこから来るのだろう?」と考えたり、去年より少なくなった雪をながめているうちに「どうしたら地球温暖化を止められるだろう」と思いを巡らせたりすることもあるはず。また、自然との一体感を楽しんだ後に、わざわざ森を汚したり、川にプラスチックごみを捨てたりするとは考えづらい。
写真:2022年12月から翌2月にかけて長野県・野沢温泉村に設置された「ブルーボトル コーヒートラック」雪景色の中で楽しむコーヒーは、格別の美味しさ!
「一見無関係に見えるかもしれませんが、自然を楽しむ機会を提供することで人々の意識を変え、サステナビリティへの関心を高められると私たちは考えています。今後もアウトドアでコーヒートラックを運用し、各地で“季節の風物詩”的存在となるのが理想です。冬なら『ブルーボトルのチームが来たからそろそろスキー場がオープンするね』、夏なら『そろそろ花火の季節だね』と、地元の方々に言ってもらえるようになることを願っています」
Sincerely,
Blue Bottle.
今年のホリデーコレクションテーマは
『Sincerely, Blue Bottle』
英語で手紙の結びとしても使われる
Sincerely(心を込めて)というワードに表した通り
心を込めて一杯ずつ淹れるコーヒーと
そこから生まれたコミュニティのみなさまへ
感謝の気持ちを込めたコレクションをお届けします。