ナチュラルとウォッシュドって?コーヒーの精製方法について

みなさんは、スペシャルティコーヒーのラベルや商品説明の「ナチュラルプロセス」「ウォッシュドプロセス」などの表記を見て、気になったことはありませんか?

これらは、コーヒー豆の精製方法を表しています。コーヒーの味に影響を与える要素として、品種や地域ももちろんですが、精製方法もコーヒーの味を決定づける上で非常に重要です。主にナチュラルプロセスとウォッシュドプロセスというの2つの手法により、完熟したコーヒーチェリーを、果実の状態から輸出可能なグリーンコーヒーへと変化させることができるのです。 またこの2種類の手法をアレンジすることで無限のバリエーションが生まれ、各農園や生産者のグループの個性を輝かせる絶好の機会ともなります。

そして、精製方法によってコーヒーの風味と口当たりに特徴があるので、それを知っておくことで、お好きなコーヒーを見つけるのにとても役立ちますよ!

1.ナチュラルプロセス

ナチュラルプロセス(またはドライプロセス)は昔から行われていた精製方法であり、収穫したコーヒーチェリーをそのまま高い乾燥棚やマット、またはパティオなどの上で約15〜35日間乾燥させます。果実が完全に乾いたら、数か月間保管するか、すぐに乾燥した皮を取り除く作業(ハリング)を行います。ナチュラルプロセスを施すことで、果実の糖分とフレーバーはコーヒー豆に濃縮され、よりしっかりとしたボディ、抑えられた酸味、そしてフルーティーでワインのようなフレーバーに仕上がります。 

ナチュラルプロセスは、エチオピアやイエメンの一部のように、水源に乏しい場所で始まりました。気温が高く太陽が強い場所では、この方法は理にかなっています。これらの条件では、乾燥したコーヒーチェリーは、収穫期を通して永続的な霧が降るグアテマラのコバンのような場所と比較して、カビが発生する可能性がほとんどありません。

ナチュラルプロセスで精製されたコーヒーは、果肉がついたまま乾燥させることにより、香りと味にはっきりとした個性が現れます。うまく処理されると、ウォッシュドコーヒーではめったにできないようなフルーツフレーバーを明確に表現します。ブルーベリーとストロベリーのノートがなど、コーヒーの試飲に慣れていらっしゃらない方でもそのフレーバーを感じていただくことができると思います。

しかしながら、ナチュラルプロセスにはリスクが伴います。コーヒーチェリーがいつまでも湿った状態で放置されると、カビが生えて、酸っぱいまたは酵母臭のあるコーヒーになってしまいます。それを防ぐために乾燥させている間は広げた豆を頻繁にかき混ぜることが必要になります。

2.ウォッシュドプロセス

「ウォッシュドプロセス」または「ウェットプロセス」と呼ばれる精製方法は、コーヒー豆にしっかりとした酸味とブレのない味わいを与えるため、より一般的な方法です。ウォッシュドプロセスが施されることで、明るく爽やか、クリーンで明瞭なフレーバーに仕上がります。

基本的な方法は、まず摘み取ったばかりのコーヒーチェリーを、果肉を除去するパルピングマシンにかけ、果肉と外皮を取り除きます。次に豆を水に浸し発酵させ、定期的に攪拌することでミューシレージを含む果実が剥がれます。発酵後、豆をすすぎ洗いし、屋外のパティオや高い乾燥棚に置き、天日もしくは機械式ドライヤーで乾燥させます。気候と設備によって、この最終ステップにかかる日数が決まります。

精製方法のさらなる可能性

上記の2つの処理方法を基本として、さまざまな方法が存在します。例えば「ハニープロセス」とは、ナチュラルプロセスとウォッシュドプロセスの中間に位置するような方法です。

ハニープロセスについては、ぜひこちらの記事をご覧ください。

ブルーボトルコーヒーでは、幅広いフレーバーのコーヒーをご提供したいという想いから、ナチュラルプロセスコーヒーとウォッシュドプロセスコーヒーの両方を取り扱っています。ある方にとっては、ナチュラルプロセスで処理されたコーヒーを初めて飲んだ瞬間は、忘れられないものになるかもしれません。また別の方にとっては、これまで”コーヒーの味”と考えていたイメージが揺らぐかもしれません。

私たちは、コーヒーのテイストを決定づける上で果実の品質はもちろん、その後の工程も非常に重要であると考えます。

農園や精製所の方々が、その土地の気候、水源へのアクセス、文化や慣習などの条件の中で、多大なる努力や工夫により築き上げられた工程を経ることによって、コーヒーチェリーが私たちが愛するドリンクになると信じています。